Listen to Silence@Hiroshige Cafe Gallery

昨日、恵比寿の弘重ギャラリーで行われているHanae Saitoさんの「Listen to Silence」を観に行ってきました。

彼女の描く線は写真で観て分かる通り細かく、とても繊細です。この日、写真を撮らせて頂いたのですが、この、細部が特に神ってる作品たちをうまく撮影できずめちゃくちゃ無念でした。。(泣)

作品は10点以上展示されており、その中にはペインティングも何点かあります。幸運にも昨日作家さんとお話しでき、作品の事をあれこれ伺う機会に恵まれました。

これらの作品の被写体になっているのは、ご自宅のお近くにある木だそうです。

その木の部分を細かく描き続けているとか。。

お話の中で、この作品にはどれくらいの時間を要したか等も伺えたのですが、制作の追い込みと共にだんだんとゾーンに入っていく中で絵の動きがダイナミックになっていく、といった類のお話がとても面白かったです。

それは私にはその被写体となっている木との同調が強まる様な印象も受けました。そして銅版画(特に彼女の作品は)は刷り上がりまでにとても時間が必要なので、その長い長い長距離走の間に、被写体の木・作家・マテリアルの眼に見えないコミュニケーションが濃度を増していったのではないかなと勝手に妄想。。

よく、鉢植えの植物等は住人の波長を感じ取る、と聞く事があります。我が家にも何個か鉢植えがありますが、なんだか調子が悪いタイミングが合ったりするときもあるような(笑)でも、一緒に生活していればそれぞれの波長を感じ取ってしまうって当たり前の様でもあります。

後、時たま思うんですけど、木って私たちよりだいぶ長生きですよねえ。。木に限らず建物とか色々当てはまるものはありそうですが、そういったもの達って長い歴史の中で様々な移り変わりを見せているこの人間の世の中に何も申さず、沈黙を保ちつつもずっと見守ってくれているのですよね。今回の展覧会のタイトル「Listen to Silence」もその事を物語ってくれているような気がして。

今、先行きの見えない世の中で「眼に見える安心」というのは本当に一握りのものなのかもしれない。というか、この世の中眼に見えないものだらけだと私は思う。ただただすべきことはそれを自分の身体というフィルターを通して日々感じ取っていくだけなのかな、とも思いました。

話がだいぶ脱線してしまいましたが、是非、展覧会会場でご高覧くださいませ。

Saitoさん、どうもありがとうございました。

HIROSHIGE GALLERY(弘重ギャラリー)

”Listen to Silence”
Hanae Saito

2020/12/15(Tue)-12/20(Sun) 11:00-19:00(最終日のみ17:00まで)

〒150-0022
渋谷区恵比寿南2丁目10-4 ART CUBE EBIS B1F
TEL:03-5722-0083(代)
11:00~19:00(定休日:月曜日)

新・今日の作家展2020・再生の空間

横浜市民ギャラリーで開催されている新・今日の作家展2020「再生の空間」を観ました。地主麻衣子さんと山口啓介さんの世代の異なる二人が綴る空間。

感覚的で詩的な要素を盛り込んでいる地主さんの作品は、日々の何気ない会話の様に言葉と映像を介して空間を舞い、山口さんの方は分厚い日記帳の中からおのずと立ちあがってくる未来を見据える様な、一枚のセーターを編んでいる様な、構築的な要素を個人的に感じました。一見対照的なアプローチを持つ二人だけれど、いつも根底に流れているのはそれぞれの日々であり見つめているのは過去の様でその先の未来。

特に地主さんとは世代も近いことも関係しているのか、とてもインスピレーションを受けた様に思います。

映像はどれもそれほど長くなく何回でも繰り返し観る事ができるのですが、改めて言葉の刷り込み要素と繰り返し観るという行為がもたらすものについて考えました。

作品のひとつにとてもシンプルな言葉で展開されていくものがあります。会話の様に軽やかでふわっと消え去る事象の様でもあるのですが、何度もその言葉を繰り返していくうちに自分の中の経験としての感覚を呼び覚まされるのです。

例えば、”寂しい”と思った時に人間は沸き上がってくる自分の感情をふと、何かの言葉に置き換えることが出来る。ふと漏らした言葉は”ふと”故にシンプルに仕上がっている事が多い(ような気がする)。ただ、その”ふと”は自分の潜在意識に一番近いところから発せられた言葉でもあり、とても感情が織り込まれている様にも感じられ、何故寂しいと思ったかの経緯が細い糸で繋がっている。

何を言いたいのかと言うとシンプルな言葉の中に含まれている物凄い情報が、身体が覚えている感覚として立ち上ってくると、自分がいるその空間の温度が少し高くなるのです。

この現象ってなんだか電気が身体を駆け巡る感じに似ているのかな。

今、こんなご時世で、密なコミュニケーションは難しい状況にあるけれど、その分メールやSNSで綴られる言葉の存在が大きな意味をますます持ちはじめたり、更にはその発する言葉に対して「この人はどういう人なんだろう?」という感覚がますます研ぎ澄まされていくように思います。

だから今は全人類新しい感覚を研ぎ澄ますしばしの時間。。とも言える様な気がするし、この騒動が落ち着きをみせた頃にはハイパーパワーアップorバージョンアップした世界が眼の前に現れている。。という事を妄想(笑)

そんな事も考えていました。

新・今日の作家展2020 再生の空間
New “Artists Today” Exhibition 2020 Space of Rebirth

地主麻衣子 JINUSHI Maiko
山口啓介 YAMAGUCHI Keisuke

  • 2020年9月22日[火・祝]-10月11日[日] 10:00~18:00(入場は17:30まで)
  • 横浜市民ギャラリー 展示室1、B1 入場無料 会期中無休

坂口恭平展Pastel@tetoka

昨日、神田のギャラリーへ坂口恭平さんの個展を観に行ってきました。いつもTwitterで作品を観ていたので実物を観たいなあと思っていたのです。

場内はたくさんの人がすでに駆けつけていてリラックスしたムードが漂っていました。パステルの作品達は思っていたよりも小さかったけど、引きで見るとほんと、写真かのような印象を受けます。吸いこまれそうな空と海のあお、その周りに拡がる雲の陰影、これを日課として毎日描き続けるということ自体が凄いなと思いました。

。。しかし、なぜか観終わった後、すっきりしない自分がいる。なんでだ、なんでだ、なんでだ!と電車の中でも家帰ってからも考えましたよ。そして今朝起きて、あ!と気づきました。

”嫉妬”?

むーん、このこと書くのもはばかるけどそうかもなあ~、と降参します(笑)どの点に嫉妬したかというと、のびのび~と眼に映る物を素直に描いているところです。坂口さん自身が作品の様なものだからこう、全身で外に向けて息を吐いている、というか出して出して出しまくっているっていう感じでしょうか。その素直さがすごいと思うと同時に羨ましい。でもこれは躁鬱やら色んな表現をやらを模索して辿りついたひとつの結果だとご本人も仰っているので、その努力知らずに羨むというのは随分自分勝手な話なのです。

しかし、良いな(笑)

でもこの感情に向き合った事やこうして言葉に落とせた事が、自分がどんな価値観に縛られているかを更に明確にできたような気がする。といっても私の周りには価値観を強制する人や団体がいるわけでもない。世間が、社会が、とは簡単に言えてしまうけど、結局のところは自分の価値は自分でいつでも自由に決める事ができる。そして自分を縛るか縛らないかの選択も自分でたやすくできてしまうものなのだと思えるようになった。

外に求めるのではなくていつでも自分から変化して世界にその変化を向けていけば良いのだと思う。自分の意識が変わらないことには世界の風景はいつまでもそのまま。まずは自分から、っていうのはこういう事でもあるんじゃあないかなあ。

というわけで、思いっきり毒吐きした気分だけど、すっきり。(解毒剤?)坂口さん、どうもありがとうございます:)

アート / 空家 二人 / 語られうる物語

先日蒲田に新しくオープンしたギャラリー「アート / 空家 二人」に行ってきました。美術手帖にも掲載されていましたが面白いシステムで作品を販売しており、興味深く観賞させて頂きました。

今回、作家さんは総勢15名とかなりの人数で、作品は絵画・彫刻・映像、また、観賞者とダイレクトにコミュニケーションを取れる体験型の作品まで多岐に渡っていましたが、一軒家をまるまる使用しており、スペースに余裕を持ちながら観賞する事ができます。

さてさて、今日は出品作家の一人でもある坂本夏海さんの作品の事を書かせて頂きたいと思います。今現在スコットランドに在住の坂本さんは”魔女狩り”に紐づく歴史や女性史を題材とした作品を制作しています。インタビューや対話を通して人々が持っている体験や記憶を自分自身に沁み込ませ、過去・現在・未来と細く見えない糸で紡がれているタイムラインに漂っている物語の持つ瑞々しい映像をビデオやドローイングに投影しています。

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7月17日からオープンした「二人」という蒲田のスペースで展示に参加しています。 https://nito20.com/index.html 友人でアーティストの三木仙太郎さんが始めたギャラリーです。 毎回15名のアーティストが参加して、作品を1万円から販売し、作品が購入されると値段が上がっていくというユニークなルールで展覧会が進みます。2回以上購入されなかったらアーティストが交代するという、ゲーム感覚のような楽しさと緊張感があります・・。 今回は私は昨年スコットランドで制作をしていたシリーズの一部を出しています。 スコットランドの魔女狩りに関連する場所を旅しながらインタビューをした際の日記のようなドローイングです。また、ビュート島という場所で出会った魔女狩りについての奇妙な話からインスピレーションを受けて行ったパフォーマンスの映像も一緒に出しています。 作品の作り手でありながら、美術への向き合い方の新たな方法を試みている三木さんの活動はとても興味深くて、やりとりをしながらエネルギーをもらいました。私自身これまで作品を売ること・買うことに躊躇してあまり積極的になれないところもあったのですが、そのことにも向き合ういい機会でした。参加しているほかのアーティストの方達の作品もとても面白そうです。お部屋に飾る作品を探している方、ぜひみてみてください。 入場の際には人数制限を設けていますので混み合わずご鑑賞できるかと思いますが、どうぞ無理はされずにお願いいたします。ウェブサイトからも展示が見られます。 (この作品たちはイギリスのロックダウン中に郵送され、数ヶ月も音沙汰なく、もう無くなったかも・・と諦めかけた時に無事に到着したというドラマがありました!ロックダウンも7月現在スコットランドはかなり緩和され、少しずつ日常に戻りつつあります。) NITO01 2020年7月17日 – 8月10日 金、土、日、月、祝日のみ営業 11時 – 19時 【参加作家】 Aokid/伊阪 柊/内田 涼/UMMMI./うらあやか/久留島 咲/坂本 夏海/だつお/田中 良佑/鄭梨愛 /林 奈緒子/本間 メイ/前田 耕平/村上 慧/森山 泰地 【会場】 「アート/ 空家 二人」 東京都大田区蒲田3丁目10−17 京浜急行 梅屋敷駅 徒歩6分 京急蒲田駅 徒歩8分  JR・東急 蒲田駅 東口 徒歩13 分 ※道幅が狭いため、車でお越しの際は近くに駐車お願いいたします。 【連絡先】 letter@nito20.com 代表 三木 仙太郎 撮影 石原 新一郎 三木 仙太郎

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今回の映像は坂本さんが海に石を投げ入れている映像が映し出されています。(こちらのインタビュー記事にそのひとコマが記載されています)どうして石を投げ入れているのだろう。。?と思ったら遥か昔、魔女狩りが行われていた時代にスコットランドのビュート島という所で海に石を投げ入れた事により「嵐を呼んだ」「船を沈没させた」として魔女として告発されてしまった女性達がいるという歴史がインスピレーションとなったようです。映像の隣のドローイング達は作家自身がその土地で出会った人達との対話や感じた事が綴られています。

こんな歴史があったのかい。。!という事を知れるのは勿論だけど、今この時代を生きる私達はどれもそれらを体験する事は不可能だし歴史はいつも曖昧に物を語ります。しかし、今私達が眼にしているもの・感じるもの、そこには過去からのメッセージが散りばめられていて現在にまで継承されているものもあり、そのメッセージを通して今の私達の生活をまた違った角度から見つめ直す事ができると思うのです。

人は自分の生活が脅かされるのではないかと不安と恐怖を抱くと攻撃する。嵐が起き、船が沈没した理由、それは眼に見えないものだから眼に見える何か、にフォーカスが当たってしまった歴史とも言えるのかな、とも思いました。それは現行で起きている情勢とも似ている所があって、眼に見えないウイルスを攻撃するより、人を攻撃するニュース等が飛び交う度に憂鬱になる事が多いです。自然のものであるウイルスを攻撃。。って言い回しもおかしいんですけどね。

でもこうして石を海に投げ入れても捕まらない現代(少なくとも捕まった事がないワシは浜っこです。干あがったわかめを食べて注意されたことはあったけど。。)になっているということは大きな時代の流れの中に少なくとも人々の意識の変容があったという事です。

私はその点でこの作品から見える過去と現在を結んでいる分厚いページの中で何がきっかけで意識がシフトしていったのか?という事にも興味を持ちました。でもおそらくそれは指をパチン、とさせれば切り替わる歴史ではなくて教科書には載っていない語られることのない誰かの小さな行動が物語を生み出しその波紋を呼んだのかもしれません。

「自分のこの言葉や行動が何になるんだろう」と思う事があります。でも、誰か一人が意識を変える事によって伝染していくグッドバイブレーションというのは存在しうるのだと信じていきたいです。そういった意味ではこのギャラリーの新しい試みも応援したいと思いますし、皆が色んな角度から思考を動かしてアートを楽しめる場が出来て言ったら良いなと思います。そしてここでは書けませんでしたが、面白い作品を出品されている素敵な作家さん達が沢山いらっしゃいました!

この作品はどうやって販売するんだろう。。と考えるものもあります。今は少し現地に脚を伸ばすのが難しい時期でもありますが、体験できる方は現場で体験してみてください。また、WEBでも写真で作品が閲覧出来るみたいです。

NITO01
2020年7月17日から8月10日(11~19時)
アート/空家二人
東京都大田区蒲田3-10-17
火・水・木曜休館
観覧無料
HP: https://nito20.com/ 

AQUA@yellow toe

斎藤みきさんさとうまいこさんによる二人展「AQUA」を観に祐天寺にあるギャラリーYellow Toeさんに行ってきました。

Image may contain: ocean, text and water

「水」をテーマに、それぞれの表現(絵画・版画・コラージュ・写真・本などなど)でとても気持ちよく描かれています。水に関連しているという事もあるのか(?)会場内は情熱の大洪水!というのも、お二人ともとても情熱的で太陽の様にカラッと、かつパワフルなお人柄なので、展覧会場の作品達もさんさんのお日様に照らされその水面反射を周りに分け与えてくれているようでした。

大量の太陽光線に「おお。。」と眼を眩ませながらも、のびのびと光合成することができ、なんだか元気になったぜ。みたいな良いスタートの一日でした(笑)

斎藤さんのお写真は雄大で色彩豊かな自然の表情が映し出されており、その熱気やみずみずしさまでもぎゅっと写真に収めているようでした。展示作品の中には写真集もあり、その中には旅先の風景やおそらく現地で出会った人々のポートレートも。皆さんのカメラに向ける表情がオープンでとても楽しそうだったのが印象的でした。斎藤さんのお人柄が自然にしろ人間にしろこの様な豊かな表情をひき出しているのだろうなあ。。と。そしてそこに一貫して横たわっているマインドは「恐れない」という姿勢の様な気がします。

さとうさんとは同じ習い事をしている事もあり、工房で制作姿を度々拝見していました。が、こうして沢山の作品を観て、本当に情熱を制作にささげているのだなあと改めて思いました。何度も塗り重ねられた下地から導き出される新たな表情や、細かく仕上げているコラージュが紙の上で波打っている様子を見るとそこに費やした時の重みを感じずにはいられません。「ちびドラゴン」というキャラクターが展覧会場の色々な所に現れますが、そのドラゴンの様に、うわーーーーーーっとパワーを放っている感じです。(私は思わずポストカード買っちゃいましたよ。今、眼の前にしてこのブログ書いてます。窓辺に新しいパワースポット誕生です(笑))

二人展 斉藤みき(写真)×さとうまいこ(絵画)
【日時】2020年6月13日(土)〜6月28日(日)
12時〜19時(初日15時〜、最終日16時まで)
【会場】Yellow Toes(祐天寺)
http://yellowtoes.s2.weblife.me/index.html
入場無料

28日までです。なかなか難しいご時世ではありますが、ご興味のある方は是非脚をお運びください:)